賃貸経営

第8回【賃貸住宅経営の6大リスクとその回避法3 管理・災害・金利リスクの対処法】

第8回【賃貸住宅経営の6大リスクとその回避法3 管理・災害・金利リスクの対処法】

 つづいて、「管理リスク」ついて考えてみましょう。

賃貸住宅経営における管理会社の主な業務の洗い出し

 賃貸住宅を建てて、入居者の方を募集する、入居者の方が住まい始める、そしてその方が退去され、また新しい方に住んでもらう、こうした一連の「賃貸経営」には多くの業務があり、オーナー様が独自でこれらを行うことは大変な苦労です。そのため、賃貸住宅経営を行う際に、たいていの方々は、賃貸経営業務の多くを管理会社(PM会社)に依頼します。

 先に述べた一連の流れの業務を細かく見ていきましょう。
 管理会社(以下PM会社)に委託する業務は主に3種類あります。

1)客付け業務 ・広告を利用した入居者募集
・物件見学(内見)対応
・賃貸借契約書その他必要書類の作成
・賃貸借契約書の締結
・火災保険等の締結
・入居の審査
・鍵の受け渡し
・その他
2)入居者対応業務 ・家賃徴収事務代行
・滞納者に対する催促・督促
・入居者からのクレーム対応
・保険事由発生時の保険会社との折衝
・賃貸借契約違反に対する注意・指導
・更新業務
・その他
3)退去時業務 ・退去時の立ち会い
・原状回復工事の手配
・原状回復費用の請求
・退去後の資金等の清算事務代行
・その他

のようになります。
どれも、欠かすことのできない重要な業務です。

 管理リスクとは、このように列記したPM業務が上手く行かないリスクですが、セキスイハイムでの賃貸住宅経営の場合は、系列(グループ会社)の管理会社が行い、連絡も密になっていますので、安心です。

 つづいて、「災害リスク」ついて考えてみましょう。

賃貸住宅経営における災害リスクとは

 日本は地震・水害・暴風等の災害が多い地域です。また、火災の起こる可能性もあります。不幸にして、こうした災害が起こると、あっという間に資産が失われることになります。ネガティブな話ですが、こうしたことが絶対に起こらないとも言えませんので、賃貸住宅経営のリスクとして考えておいた方がいいでしょう。

損害保険会社に災害リスクを買ってもらう

 火災・地震、その他のリスクに対する対応策(回避策)はしっかりと保険を掛けるということになります。物件所有のオーナー様が掛ける保険と、借り主の方が掛ける保険の2つをしっかりと掛けるということです。
 これら保険を積極的に活用して、「リスクを損害保険会社に買ってもらう」ことが対応策になります。損害保険会社は、こうした「リスクを買う会社」といえます。

 賃貸経営を行うオーナー様向けの火災保険では、通常の火災保険(一般的な火災)に対する補償に加えて、他の災害リスク(地震は除く:後述します)を、特約を付けることでカバーする仕組みになっています。(もともと含まれているものなどあります:保険会社、保険の種類により異なります)

地震保険について

 さらに、火災保険に加えて地震保険を掛けるのが一般的です。
 ふつう地震保険は、それ単体では加入できず、火災保険とセットになります。主契約となる火災保険の補償額の50%までが、地震保険の補償上限となります。
 こうした賃貸住宅経営オーナー様向けの保険は、各保険会社が様々な種類の保険を出していますので、内容を検討して加入されるといいと思います。

 次に、「金利上昇リスク」 に対してどう対処するかについて考えてみます。

賃貸住宅経営における金利リスクとは

 土地を所有する方が、その土地を有効活用して賃貸住宅を建てて経営を始める時に銀行から借りる融資を一般的にアパートローンと呼びます。
 アパートローンは基本的に、賃貸住宅の賃料で返済しますので、借り主の属性(年収など)だけでなく、賃料見込みがどれくらいなのかが、融資審査の大きなポイントとなります。
 アパートローンはたいていの銀行が商品として持っており多少条件が異なりますが、期間は35年が上限、そして固定金利と変動金利の2パターンから選ぶことが多いようです。(固定金利は期間付き、全期間の場合あり)

 固定金利は、期間内(あるいは全期間)金利が固定されているローンです。
固定金利の場合は、その固定期間内に金利が上昇するリスクはありません。賃貸住宅経営を始める時(借入時)には、想定賃料、想定経費、ローン支払いなどを含めた収益シミュレーションを建てますが、このシミュレーション上において、支払額が増えることはありません。

 一方、変動金利の場合は、市況等によって金利が変化するタイプの金利です。金利上昇の可能性も金利下落の可能性もあり、シミュレーションがぶれる可能性があります。

ふつう固定金利より変動金利の方が低いことが多いようですので、変動金利を選ぶ方が多いようですが、こうした上下リスクが伴うので注意が必要です。変動金利→固定金利には変更もできる(有償、無償の場合あり)ので、大きな金利上昇基調になれば変更すればいいと考える方も多いようですが、いずれにせよ、「想定がブレる」リスクはあります。

 ブレない賃貸住宅経営を希望するなら固定金利、多少のリスクがあっても収益性重視ならば変動金利というのが定石でしょう。
 最後に、実際の金利については、借入日の金利が適用されるので、実際に申込をしてみないと明確な数字は分かりませんので、注意が必要です。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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