賃貸経営

第10回【賃貸住宅への投資にはどんなものがあるのか? 遊休地活用が一番有利?】

第10回【賃貸住宅への投資にはどんなものがあるのか? 遊休地活用が一番有利?】

 賃貸住宅経営において、対象となる住宅の物件種別は多種多様です。賃貸用の住宅と言えば、郊外のアパートや区分マンション(ワンルームマンション)のイメージが強いと思いますが、2000年以降、賃貸住宅投資は裾野が広がり、また商品も多様化してきました。
 しかし、やはり王道は、セキスイハイムなどが提供している、土地活用として賃貸住宅(賃貸アパート)を建築し、賃貸住宅経営を行うスタイルです。
 ここでは、賃貸住宅投資の全体像を解説しながら、土地活用としての賃貸住宅経営の強みをお伝えします。

賃貸住宅への投資の種別

下図は、投資目的の賃貸用住宅の代表的な種別を示したものです。

賃貸住宅への投資の種別

賃貸住宅への投資は

  • ① 不動産そのものを投資する(所有する)
  • ② 証券化された不動産投資をするか

により分類できます。

このうち、上記①実際に不動産を所有するタイプの賃貸住宅投資では、

  • A:土地+建物1棟を所有する
  • B:土地+建物の一部、つまり区分を所有する

に分類できます。

さらに、Aを分類すれば、

  • X:すでに所有している土地の活用に賃貸住宅を建築する(一般的な土地活用)
  • Y:新たに土地を購入して建物を建てる
  • Z:土地と建物がセットになった分譲型賃貸住宅購入する

に分類できます。

Bを分類すれば、

  • ア)新築区分マンション
  • イ)中古区分マンション

に分類できます。

 土地活用での賃貸住宅などの1棟での所有の場合、土地と建物すべてを所有(所有権の場合)することになり、一方、区分所有の場合は、専有部の所有権と案分された土地(=建付地)の所有権、共用部については区分所有者全員の所有(共同所有)ということになります。

不動産証券化商品

 一方、証券化された不動産の代表は、上場された不動産ファンドであるJREITです。JREITは、2023年2月末現在60銘柄(2月27日に合併に伴い1つ減りました)あります。JREITの投資口価格は低額のもので1口4万円台から高額なもので1口70万円台となっています。その他に証券会社等が組成している私募REITやクラウドファンディングで1口1万円といった小口化された商品も増えており、多様化が進んでいます。
 各REITは、株式投資や投資信託と同じように購入することができ、配当金(REITの場合分配金といいます)や値上がり益を狙った投資となります。

賃貸住宅における1棟所有の優位性

 賃貸住宅への投資(建築)を行う場合、1棟で所有するか区分で所有するかは大きな分かれ道です。例えば、ワンルームマンションを1室(区分所有)するのも、10室のワンルームがある1棟の賃貸住宅もどちらも、「ワンルーム物件」への投資と言えます。

 1棟物件投資のメリットの1つ目は、複数の部屋があることからの空室リスクの分散が効くということです。区分マンションを10室と10室ある1棟賃貸住宅を保有していれば、空室分散で同じことですが、管理の手間、あるいは確定申告などにおける手間など、集合住宅1棟保有の方が断然ラクです。
 2つ目のメリットは、なんといっても敷地(=建付地)の所有権を全て有することです。相対的に担保価値の高い土地を所有することで、区分マンションを多く保有するより担保資産価値が高くなる可能性が高くなります。

 区分マンションへの投資は、投資金額が1棟賃貸住宅に比べて安いため、ハードルが低く「はじめての賃貸住宅投資」には向きますが、高年収サラリーマンなどにとっては、1室だけですと、キャッシュフローや節税の観点から「メリットが限定的」、「物足りない」という声が聞かれます。
 こうしたこともあって、ここ数年投資用の区分マンション価格が上昇しているため、所有している投資用区分マンションを手放し、その資金で(あるいはその資金を元手として)、賃貸住宅を建築する方が増えています。

遊休地活用型の賃貸住宅投資の優位性

 こうして考えると、最も優位と思えるのは、自己所有の遊休地に賃貸住宅を建築するタイプです。先に述べた1棟賃貸住宅のメリットをすべて享受できるうえに、土地を新たに購入することがなく、その分投資総額を抑えることができます。また、節税効果も期待できます。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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