建替・リノベーション

賃貸住宅のリフォーム市場とメンテナンスコストを抑える必要性

賃貸住宅のリフォーム市場とメンテナンスコストを抑える必要性

 一般住宅と同じように賃貸住宅を所有すると、一定年数を経ると必ず何らかのリフォームを行う必要があります。自らが住む住宅においては、仮に住宅設備品に不具合がでても、多少のことなら我慢すればいいかもしれませんが、賃貸住宅として賃借人の方に貸すとなると、そうはいきません。空室時ですと、「入居者がつかない」という可能性もありますし、入居中に不具合が起こると、「なおして欲しい」と要望があります。入退去時の補修・メンテナンス以外にも約15年くらい経つとどうしても、とくに水廻り設備などで不具合は起こりやすくなります。

賃貸住宅におけるリフォーム・リニューアル工事の推移

 まず、賃貸住宅のリフォームがどれくらい行われているか見てみましょう。
国土交通省では平成20年以降「建築物リフォーム・リニューアル調査」という調査を開始し、平成30年からは、その調査結果を四半期ごとに発表しています。

 その調査データの中から、賃貸住宅だけ分を抽出して、推移をまとめたものが下図になります。
(最新は2019年12月末分まで、そのため、年度集計では2018年度分まで公表)

賃貸住宅リフォーム・リニューアル工事受注高推移

 図表を見ると、2013年以降は8000億円から1兆円規模の工事が行われています。これは、リフォーム市場全体の概ね20%超を占めていることになります。1/5という一定の割合を占めていることがわかります。

 一般的に、ハウスメーカーが建てた一般の住宅(自用の住宅)の場合は、建築した会社にリフォームを依頼することも多いようですが、リフォーム専門業者に頼むことも多いようです(セキスイハイムの物件は、セキスイハイムのグループ会社であるセキスイファミエスに頼まれるオーナーの方が多いようです)。しかし、賃貸住宅のリフォーム・リニューアル工事の大半は、賃貸住宅を建築した会社(含むグループ会社)が行っているようです。

リフォーム工事の際に悩むことは何か

 住宅リフォーム推進協議会のインターナショナルアンケート調査(個人住宅・賃貸住宅の区別なし)によると、「リフォームの際の不安や心配事」として上位にあるものは、

1位:見積の相場や適正価格について
2位:施工が適切に行われるか
3位:いろんな業者を比較しにくい
4位:費用が掛かる

といった順位になっています。

 1~3位に関しては、最近ではネットで相場価格を調べたり、業者の評判を聞けたり、と、ずいぶん仕組みが整ってきていると思いますが、しかしながらまだまだ、不安の上位に上がっています。
 4位の「費用が掛かる」ということを不安というかどうかは難しいところですが、個人用住宅、賃貸用住宅に限らず、所有住宅を長く快適に使うためにはリフォーム費用が掛かりますので、あらかじめその費用を見込んでおくことが必須となります。

リフォーム費用の掛かりにくい賃貸住宅を選ぶ

 住宅を長く快適に使うためにはどうしてもリフォーム費用が掛かかります。しかし長期間でみると建物によりリフォーム費用(生涯費用)は異なります。
 一般住宅では、戸建住宅とマンションを比較すると、戸建て住宅では室内・水廻り・外装・外構とあらゆるリフォーム工事の必要可能性がありますが、マンションの生涯に渡るリフォーム費用は水廻り設備やちょっとした内装工事程度です。もちろん、共用部については、修繕積立金を支払っていますので、合計すると同じくらいかもしれませんが、自分で発注するリフォーム工事金額としては差があります。

 投資物件である賃貸住宅において、たいていのオーナーの方は、できる限りリフォーム工事は安く抑えたいと思っていることでしょう。いうまでもなく、その方が利回りがいいからです。
 とくに大きなお金がかかる外壁、屋根などはメンテナンスが少なくて済む建物を検討したいものです。セキスイハイムの賃貸住宅の屋根は、基本的に陸屋根形式でメンテナンス費用が掛かりにくいタイプです。また、外壁もメンテナンスコストが掛かりにくい仕上げになっています。こうした点は、賃貸住宅経営を行う土地オーナーの方がセキスイハイムを選ばれる理由の上位に上がってきています。
 トイレ、お風呂、洗面台、といった水廻り設備は、どうしても20年程度で取り換え時期が来ます。また、20年くらい経つと、経年劣化だけでなく、装備が古くなってくることも考えられます。水廻りについては、入居者の方も物件見学の際には、とても気にされるポイントですので、古くなってきたら、素早くリフォームする方がよいでしょう。そのためにも、賃貸住宅の建築時に、まず、メンテナンスコストを抑える物件を建築すること、そしてメンテナンス&リフォームの費用をしっかりと見込んでおく必要があります。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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