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世代を超えて相互扶助を行い、心豊かに暮らすための考え方「代々設計」。これまでのコラムでは、現役子世代とその親世代の間で行う助け合いの手法をご紹介しました。
しかし「代々設計」は親世代と子世代の一度きりの相互扶助だけで完結するものではありません。なぜなら、世代を超え永きに渡って幸せな暮らしを継承していくことこそ、「代々設計」の目指すべきところだからです。今回は、親世代から援助を受けた子世代が、次の世代への扶助を見据えてどういった備えをしておくべきなのかについて考えたいと思います。
次世代への扶助を見据えて考えておきたいこと。それは、子世代が親世代のサポートによって得られた経済的余力を「いかに活用し、増やすか」です。なぜなら、得られた余力をそのまま維持し受け継ぐだけでは、社会情勢や景気の変化により後世になるほど資産が目減りしてしまうリスクも考えられるからです。そこで、資産を増やすために検討したい3つの方法をご紹介しましょう。
住宅購入や教育に関わる資金を親世代からサポートしてもらうことにより、月々の家計に余裕が生まれることになります。この余裕資金を「老後資金の準備」に回すことを考えましょう。
たとえば、金融資産の運用方法として、私的年金である「確定拠出年金 (401k)」などがあります。少子高齢化が進む中、国は公的年金を縮小させるために私的年金の活用を推奨。その一環として「確定拠出年金」では、掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されるようになっています。通常、サラリーマンの場合だと収入の20〜30%が税金として徴収されていますが、もし年間60万円分(5万円×12ヶ月分)の拠出があれば、60万円分すべてが非課税となり、節税効果が期待できます。さらに運用益も非課税となっており、現役時代だけでなくリタイア後にとってもっとも有利な老後資金の準備方法 だと言えるでしょう。(ただし、確定拠出年金の特性上、運用上の損益が受給額に反映されるため、将来の受給額は変動することを覚えておきましょう)
住宅購入のための資金や土地を親世代からサポートしてもらうことで、経済的な余力が生まれます。その際に賃貸住宅の建築を検討するなど、不動産として活用する方法も考えておきましょう。賃貸住宅や賃貸併用住宅を建築すれば、長期間に渡って収入を生み出し後世を経済的にサポートしてくれる資産になるのです。
例えば賃貸併用住宅を建築し、オーナーとして親世帯が住み、さらに一室に子世代が暮らすという選択肢もあります。そうすれば近居という親世代にとっての安心感を叶えながら、家賃収入をローン返済に充てるなど両世代の経済的負担を減らすことも可能になるでしょう。不動産を「贈与」という形で一度きりの活用に終わらせるのではなく、収入を生み出す資産として「継承」することで、生涯収入を増やすことができるのです。
孫世代への援助のために金融資産や不動産を運用するとともに、「共働き」というライフスタイルを選ぶことも、経済的な余力を増やすために考えておきたいポイントです。なぜなら妻が働くことで、生涯年収が大幅に増えるだけでなく、社会保険への加入によって年金額が増えることも期待でき、次世代に扶助を行う際の原資を担保できるようになるからです。
現在、全国の自治体で保育所や学童保育の待機児童ゼロを目指して様々な取り組みが行われていますが、なかなか追いついていないのが実情です。また求職中というステータスの人にとってはさらにハードルは高く、非常に狭き門だと言えるでしょう。そこで「代々設計」で近居を実現し両親のサポートを得ることができれば、働きやすい環境を整えることができるはずです。孫を通して親世代と子世代の結びつきも強まり、世代を超えて心豊かな暮らしを実現していくために大切な選択肢だと言えるのではないでしょうか。
一億総活躍社会に向けたプランの策定など、国はGDPを伸ばすために様々な施策を打ち出しています。一方で、消費税率アップや公的補助の縮小なども進行しつつあるのも事実です。だからこそこれからは、国の助成を賢く活用しながら、今回ご紹介した3つの方法などによって資産を運用し増やすための“自助努力”を考えることが、豊かな暮らしを営むためのキーになるでしょう。そのためにも「代々設計」によって資産運用のための余力を持つことが非常に重要になってきます。———「代々設計」が生み出す経済的な力と、家族の絆。それらは、将来を心豊かに生き抜くための貴重な知恵になるはずです。