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人生のライフステージにおいて、自分の住まいを検討する時期は、大きく2度あると言われています。はじめに住まいを検討するのは、子どもの出産で家族が増えた時期。子どもの成長とともに部屋が不足したり、もっと家族が快適に暮らすために機能的で広いマイホームが必要になってきます。この年齢になる頃には雇用と収入も安定するので、住宅ローンも借りやすくなります。
そして、二度目の検討時期はご主人のリタイア後。はじめに購入した住まいは、子育てを念頭にした広い空間なので、子どもが巣立った後の夫婦だけの住まいとしては広すぎます。また建築年数も経過していますので、大規模な補修が必要になったり、老後生活を安全で快適に過ごすためのバリアフリー対策も必要になってきます。
しかし、こうしたライフプランに沿って住宅を購入するとした場合、建築資金という高いハードルをクリアしなければなりません。たとえば、はじめの住宅検討では、土地の取得費と建物の建築費について、自己資金をあらかじめ準備しておくこと。その後は、子育ての養育費と教育費の負担をしながら住宅ローンの返済負担を続けることが必要となります。
そして、子どもが独立し夫婦二人になった後の住宅検討では、老後資金を確保した上で住宅資金を準備することが必要になってきます。住宅ローンを組むこともできますが、年金生活をしながらの返済負担は荷が重く、返済期間も一般に80歳までと短めになっています。
では、建築資金を捻出するための有効な方法はないのでしょうか?
じつは子世帯、親世帯が同じ時期に住まい検討をすることで、それぞれの問題点が解決できたり、大きなメリットを得ることができます。
子世帯が育児を機会に住まいを検討するタイミングと親世帯が老後のバリアフリー化などで修繕、建替え、住み替えを検討するタイミングは重なることが多いです。このタイミングを活かした家づくりをすることがポイントになります。
具体的な解決策を2件ご紹介しましょう。
1つは、親子それぞれが資金を融通し合える点にあります。親の自己資金に余力があれば「住宅取得の資金贈与の特例」を活用して1000万円を無税で子に贈与する、また子が共働きなどで住宅ローン返済に余力があれば、住宅ローンを少し多めに借りて、余った自己資金の一部を親に貸し付ける方法もできます。この際、借用書を残しておけばいずれ親の生存中か相続時に回収できることができます。
もう1つは二世帯住宅を建てること。親の敷地に建てることができるので、子世帯は土地の取得資金が不要となります。建築資金も親子で分担すれば、大幅に軽減されます。
親子が同じ時期に家づくりを検討する中で、「わが家の土地をいかに有効活用するか」ということも併せて話し合うことが必要です。親子それぞれが描く理想の暮らしは、じつは先祖代々ある土地資産の有効活用に答えが隠されています。
たとえば、その解決策としてアパート経営は有効な土地活用の1つです。
アパート経営といっても様々な方法があり、自分たちの状況に合わせて選択することができます。
「子どもとの同居を機に住み替えるつもりだけど、先祖代々の土地は残したい」という場合は、「その土地にアパートを新築」することで、土地を売却せずに家賃収入を得ながら土地を残すこともできます。
あるいは、広い土地を持っている場合、たとえば自分の住まいを夫婦二人が暮らせる広さに減築して、同じ敷地内に、アパートを建てる「庭先アパート経営」といった方法。
将来、独立していた息子夫婦が帰ってくる場合は、そのアパートを息子夫婦の家に建て替えるということもできます。
また、貸併用住宅を建てて家賃収入を得ながら、将来は、賃貸部を子世帯(あるいは親世帯)を呼び寄せて二世帯同居部に変えるといった方法もあります。
繰り返しになりますが、家づくりを検討する際は、まず「タイミングを見て親子が同じ時期に住まいについて検討してみる。」その中で、「わが家の土地を有効活用する方法がないかを考えてみる。」という点を、親子で話し合ってみることが大切です。そうすることで、お互いが資金面だけではなく今後のライフプランにマッチした住まいの購入計画が実現できるはずです。
「まだ元気だから大丈夫」「うちの土地にはそんなに価値はない」と思っている親世代も、「相続やお金のことは話しにくい」という子世代も、将来の住まいや暮らし方について、一度話し合ってみてはいかがでしょうか?