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出生率が年々下がり、少子高齢化が進む社会————実はこの事実こそ、“わが家の資産運用”に密接に関係してくることをご存知でしょうか。
少子高齢化により年金制度の運用は厳しさを増し、受給年齢引き上げへとつながりました。国はさらなる受給年齢の引き上げや支給額の減額も検討中。これにより老後の生活資金の確保を考え直す必要が出てきます。また人口減により国内経済の先細りも予測されることから、現役世代の年収は今にまして伸び悩むことになるでしょう。これにより、現役世代の住宅・教育資金の確保も難しくなってくることが推測されます。
年齢とともに年収が上がり、自身の収入だけで「住宅」「教育」「老後」の3大出費をまかなえる時代は終わりを告げました。とはいえ、これら3つの大きな出費が必要でなくなったり、大幅に減額されたりするわけではないのも事実。つまり、定年までに得られる従来型の収入以外にも収益源を確保しておくことが必要な時代になったということなのです。
収入を増やすための方法は様々ありますが、実はどの方法も、自身の世代だけで完結させるにはかなり無理があります。働くことで得られる収入は、定年退職などで限りがあります。年齢とともに体力も低下するため、収入の大幅増は難しそうです。また、投資で必要資金を十分に確保しようと思えば、それなりの大きなリスクが伴うことも気がかりです。
そこで提唱したいのが、一世代完結型で生活設計を考える従来の「生涯設計」ではなく、子世代・孫世代の生活設計まで考える「代々設計」というアプローチ。三世代が助け合って生活設計を考えていくことで、各々の世代の負担を減らし、精神的にも資金的にも豊かに暮らすための考え方です。
親世代が老後の生活資金に困っているとき。子世代が住宅資金で悩んでいるとき。孫世代が教育資金を考えるとき。互いに世代の差を超えて手を差し伸べあうことで、今後の社会の変化にも耐えられる「資金」と、それ以上の「安心」を確保することができるのではないでしょうか。
複数世代にわたる生活設計を立てるために必要なもの−−−それは、資産の運用です。世代間でバトンタッチしながら資産を運用することではじめて、代々設計を組み立てることができるのです。とはいえ「資産」とひと口に言っても、投資信託・株式・保険・国債をはじめとする有価証券や預貯金などの金融資産、貴金属や美術品などの実物資産、不動産資産など、様々なものがあります。代々設計に適している資産運用について考えてみましょう。
例えば投資信託や株式などの金融資産は、ハイリスクハイリターンの資産運用だと言われており、場合によっては次世代に継承する資産を目減りさせてしまう危険性もはらんでいます。景気など、自身ではコントロールできない要素の影響も大きく、複数世代にわたって“長く安定的に”運用する資産としては適しているとは言い難いのではないでしょうか。また、貴金属や美術品などの実物資産は、その価値が時代を超えて継続するものであるため、金融資産のような信用リスクがないのが特徴です。ただし、これらの資産を活用するには一旦売却することが必要となるため、代々設計での長く継続的な運用を考えるとメリットは少ないでしょう。また、これらの資産は相続に際しても相続税の優遇措置がほとんど受けられません。
一方、不動産資産の運用はミドルリスクミドルリターンだと言われ、比較的安定した資産運用が可能です。駐車場やアパート経営、店舗や商業ビルとしての土地貸借、自身の居住地としてなど、幅広い使い方ができるため、家族の状況や時代の流れに合わせた活用方法を都度考えることができます。用途を変えても、土地そのものは受け継がれるため、代々設計に必要な継続的かつ安定的な運用が可能だといえるでしょう。また、不動産については、相続税評価額の軽減措置が受けられるなど大きなメリットが得られます。
つまり、「土地」という資産こそ、代々設計をつなぐ、橋渡しの役割を担う存在だと言えるのではないでしょうか。実は、土地資産による代々設計は、今に始まった考え方ではありません。日本では古来より先祖代々の土地を守り続けることで、一家の存続を守るという文化があったのです。現代においては、土地は維持するだけでなく活用することで、一家を守ってくれる心強い存在だと言えるでしょう。
代々設計をいかに考えていくべきか。そのために土地をいかに活用するべきか。今後は「代々設計」をテーマに、土地活用を考えていきます。