賃貸経営
第1回【土地活用とは何か？】
何にも使っていない土地は、負債？
土地は、「何かに使って」はじめてその効用を発揮できるものです。自宅を建てる、車庫や倉庫・・・等として使うことで、毎日の暮らしを支えるものとなります。会社ならば、オフィス、工場、店舗・・・等を建てて、そこで生み出されるものから、収益をあげることができます。
しかし、土地を何にも使わずにそのままに（更地のままに）しておくと、効用を生まない、収益を生まないばかりか、お金がかかるものとなってしまいます。各種税金に維持管理費等、何にも使っていなくても、一定の出費があります。建物が建っていても、当然固定資産税などの税金がかかりますが、固定資産税は何も使っていない土地（更地）にもかかりますし、税の仕組みではこうした「何も使っていない土地、所有権以外の権利がついてない土地」が最も高い税率になります。つまり、ただ持っているだけでは、ある種の「負債」と言える存在になってしまいます。
土地活用とは？
そのため、「何も使っていない土地」は、現在所有している方が必要としないならば、手放す（つまり売却する）かどうかの検討をしますが、そう簡単に手放すことができる方は多くありません。
そこで、「誰かに貸す」か「何かを建てて貸す」等、その土地を所有したまま、活かして使うことで、収益を上げる存在に変えようとします。これが、土地活用です。
現在、何にも使っていない土地を遊休地と呼び、それを何らかの実益あるものとして活用することが「遊休地活用」です。かつては「土地活用」という言葉よりも、「遊休地活用」と言われることも多かったようですが、いまでは「土地活用」と言うのが一般的です。
使っていない土地を所有しているのはなぜか？
先祖代々、広大な土地を所有している方ならともかく、一般の方が「何かいい土地活用の方法はないか」と思うタイミングは限られています。
例えば、相続により両親から土地を受け継いだり、あるいは自らが所有していた土地で工場・商店などを営んでいたが廃業や統廃合などで余剰土地が出てきたりして、「使ってない土地」ができた時です。
もちろんこの中には、山林の中の土地等、使い道が少ない、限られている土地も多く存在します。しかし、たいていの場合は収益に繋げることができます。
使ってない土地は、「売る」か「使う」か？
使っていない土地は、「売却する」のがいいのか、「活用する」のがいいのか、悩ましい問題です。これは、所有されている方の現状、土地の状況により大きく異なりますので、一概には言えません。しかし、土地活用については、よほどの場所でない限り何かに活用できることが多いものです。何が適しているか？の見分け方、考え方については別の回で述べますが、ここでは、「使っていない」＝「売却」と考えない方がいいことを抑えておいてください。
相続した土地の場合はもちろん、その他の状況で使っていない土地の場合においても、せっかく所有している土地を手放すのは勿体ないと思います。（ただ、緊急にお金が必要という場合は仕方ありませんが。）また、土地を高く売るにはタイミングを見図る必要もあります。
売却すると、いったんお金は入ってきます。そのお金を別の事に使う、あるいは別の事で運用するなどして、そこから収益を上げることができればいいですが、ただ銀行に置いておくだけでは、お金はほとんど増えません。株式運用などで上手く収益をあげるのは、手間と時間がかかります。一方、土地を上手く活用して、そこから収益を上げることの方が、手間がかからないことが多いようです。
こうして考えると、土地は売るよりも活用する方が得策であることが多いと思います。
立地、目的、をはっきりさせることが成功への秘訣
最後に、土地活用に踏み切る際に、考えておくべきことを述べます。
どのように土地活用するかは、「土地の立地はどうか？」「他に遊休地があるのかどうか？」をまず考えます。
そして、「どれくらい、お金をかけるか」、つまりただ単に土地を貸すなら投資はほとんどかかりませんが、賃貸物件などを建てると収益性はぐっと上がりますが、投資（ローンを組む）が必要です。こうした事を判断します。
最後に、これは極めて重要な事ですが、どういった企業をパートナーとして選ぶかも重要な事です。
本サイトをご覧の方は、賃貸住宅経営に興味を持たれている方も多いと思います。興味を持たれている方は、ハウスメーカー等が作成しているカタログや事例集、ガイドブックなどを収取して、「実際にどんな賃貸住宅が建築されており、どんな運営サービスが行われているか」といった情報を集めるといいでしょう。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所
