賃貸経営
第6回【賃貸住宅経営の6大リスクとその回避法 リスクの考え方と空室リスク】
ここからは、賃貸住宅経営におけるリスクとその回避法について説明します。
賃貸住宅を建てて経営を始めることは投資ですので、リターン(収益)を得る行為で、それには多少のリスクを伴います。ここでいうリスクとは、「危機」というよりも、「予測がずれる」、「想定外の事が起こる」という意味合いです。
賃貸住宅を建てるには当然お金がかかります(投資です)。そして、賃貸住宅経営を長きにわたって行うと、想定の事が起こる可能性があります。では、どんな想定外の事が起こるのでしょうか。
一般的な賃貸住宅経営における6つのリスクとは、
- 1) 空室のリスク
- 2) 賃料下落のリスク
- 3) 老朽化対策リスク(修繕リスク)
- 4) 管理リスク
- 5) 災害リスク
- 6) 金利上昇リスク
想定外の空室が出る。
想定外に賃料下落が起こる。
想定外に金利が上昇する
想定外の修繕費用がかかる。・・・といった具合です。
これ以外にもリスクは考えられますが、ここからはこの6つに絞って検討したいと思います。
想定をしっかりと行う
まず、リスクを回避する方法は何か?を考える際に、最も重要な事は、「しっかりと想定を行う、予測する」という事です。
どんなリスクがあるかは上記の6つに代表されますが、それらをより具体的に想定する必要があります。家賃が下がるとすると、「どれくらい下がるのか」。「何年後から下がりそうか」等です。上がる場合も、ある意味で想定外(リスク)です。「もっと家賃が取れた」という事ですので、「嬉しい想定外」と言えます。
空室の可能性はどれくらいか? 例えば3年間というスパンでみると何ヶ月くらい空室が出そうか?修繕費はどれくらいかかりそうか?など細かく想定をします。もちろん、こうしたことは、担当者が行って、計画書、シミュレーション表などを作成してくれますが、オーナー様ご自身でも理解して、想定しておいた方がよいでしょう。
空室リスクについて
では、順を追って説明します。1つ目は「空室リスク」についてです。
賃貸住宅経営において空室は一番気になる事です。しかし、空室が実室的にゼロになることは避けられません。どんなに人気のある賃貸物件でも、入居者の入れ変わりがあるため、最低でも1か月弱程度は入退去に伴う空室期間が出ます。こうした仕方のない期間を除いて、できる限り空室期間を短くしたいものです。ちなみに、2019年12月時点でセキスイハイムグループ会社の賃貸管理物件の空室率は3.5%でした。
ではどうすれば、空室が少なくなるのでしょうか?3つの視点で考えてみます。
空室の出にくい賃貸住宅
何よりも重要な事は空室の出にくい賃貸住宅を建てる(購入する)ことです。
空室の出にくい賃貸住宅を建てる(購入する)ポイントを挙げてみます。
- 1)入居者のニーズに応えた物件であること
(具体的には)
外観の見栄えがいいこと
収納スペースが多いこと、あるいは工夫された収納スペースが確保されていること
水廻り設備のグレードが高いこと
などが挙げられます。
これらの背景には、入居者が物件を選ぶ際には基本的にはPCやスマホで検索することからスタートさせるということがあります。そのため、サイト上で見栄えがする物件(外観・水廻りなど)であることが求められます。 - 2)周辺環境に応じた間取りであること
間取りは周辺環境に応じたものでなければいけません。大学や専門学校の近くではワンルームタイプ、住宅地ではファミリータイプといったことです。 - 3)賃料が適切であること
賃料設定を高くすると収益シミュレーションは良くなりますが、周辺賃料よりもかなり高くすると入居者客付けが難航し空室確率があがります。
とくに、新築時はあまり無理をしない賃料設定で、スタートする方がいいようです。
管理会社等から適切な賃料の提示を受けて、その前提で賃料設定を行うといいでしょう。
入居者客付け強化
賃貸住宅の入居者探しは、管理会社を通じて、入居者あっせん不動産会社(客付け会社)が入居者募集を行うのが一般的です。空室が続くようならば、古典的な手法ですが、このあっせん会社に、「頑張ってもらうよう」に、はっぱをかけることも空室期間短縮につながります。
空室を予測する
冒頭に書いたように、空室が完全にゼロになることはないと思います。そのため、常に満室での想定ではなく、空室を予測した上で、収益シミュレーションを組んでおくことが求められます。
例えば、10部屋ある賃貸住宅の場合、1年間に1部屋が2か月という割合で空室が出ると予測しておきます。
もちろん、管理会社との間で、サブリース契約(一括借り上げ契約)を結んでいる場合は、サブリース契約での賃料が入ってきますので、実際はこうした空室想定はしなくてもいいわけですが、しかし、収益シミュレーション上では、こうしたサブリース契約がない前提で想定しておくのがいいと思います。
本サイトをご覧の方は、賃貸住宅経営に興味を持たれている方も多いと思います。興味を持たれている方は、ハウスメーカー等が作成しているカタログや事例集、ガイドブックなどを収取して、「実際にどんな賃貸住宅が建築されており、どんな運営サービスが行われているか」といった情報を集めるといいでしょう。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所