建替・リノベーション
賃貸住宅のリフォームと建て替えについて老朽化してきた賃貸住宅をどうするか?
日本においては、賃貸住宅の入居者は新築物件などの築浅物件を好む傾向にあります。
アメリカなど欧米諸国では、「古さにはあまりこだわらない」傾向のようで、築100年を超える物件を綺麗にリフォームした賃貸住宅も珍しくありません。そして、こうした物件も、築浅物件とそう変わらない賃料で募集されています。
我が国では、築年数を経た物件は築浅物件に比べてどうしても空室が出やすくなります。これは、今に始まったことではなく、昔からの我が国での傾向です。
築年数が気になる(古さが気になる)年数は、まず最初のハードルは20年を超えた物件で、現在(2021年9月)から20年前というと2001年になります。つぎに、30年前となると1990年頃で、この頃になると新築時のままの設備(水廻りなど)ですと、老朽化(古さ)だけでなく、仕様も大きく異なり、現在では普通に備わっているものがなかったりして、ある程度の不便さを覚悟した物件という扱いになるかもしれません。
このように、築20年を超えた時に、空室が出たり、賃料を下げざるを得なかったり・・という可能性が高まります。
そのため、こうした時期に差しかかった時に、「ある程度の出費を覚悟してでも、リフォームする方がいいのか?空室が減るかもしれない?」と、悩むオーナーの方が多いようです。
賃貸住宅経営の収支状況によって、リフォームにお金をかけるかどうか、は悩みどころです。しかし、たいていの場合、築年数が経ってくると、リフォームの事は検討した方がよいと言われています。
特に、水回り設備品をはじめ室内建具など、古くなるとどうしても傷みが激しくなったり、いまでは一般的な仕様が備わってなかったり、デザインが古くなったりしてしまうものに関しては、「リフォームする」というより、「取り替える」ことは最低限必要だと思います。
一方、リフォームで大きな金額のかかる、外壁工事や間取りの変更等については、施工時から、築年数が経っても空室となりにくい間取り、メンテナンスが少なくて済む外壁を使うなど対処しておいた方がいいようです。
賃貸住宅経営を始める前には、必ず収支計画を立てます。営業担当者から、細かく内容の説明を受けると思います。その時に建物のメンテナンス費用だけでなく、リフォームを予定し積み立てをしておくといいと思います。
建て替えはいつ行うべきか
次に、賃貸住宅の建て替えについてです。賃貸住宅の建て替えの主な要因は、いうまでもなく建物の老朽化です。では、その老朽化を意識するきっかけとなるは、何でしょうか。
建物が古くなって傷みが目立つ、あるいは空室が目立つようになること、入居者様客付けに時間がかかること等があげられます。
都心の超人気エリア等以外の地域では、築30年を超えた賃貸住宅は競争力を失っていきます。築30年というと1990年頃の施工物件です。バブル景気の上昇機運の真っただ中に建てられた賃貸物件の中には豪華な仕様のものもあります。しかし、現在はスマホやPCで物件探しをする時代です。物件内覧に行く前に、ネットで条件を入れて検索し、そこで出てきたものの中から選んで、不動産会社さんに問い合わせるという流れです。この条件では、立地条件を除けば、賃料、広さ(間取り)、築年数で、まずふるいにかけます。〇万円以下、〇〇㎡以上、築〇〇年以内、という感じです。「実際に物件を見ると古さを感じずいい物件だけど、物件案内が入らない・・」となってしまう例も多いようです。
空室の増加は、賃料下落につながります。こうした悪循環が収まらないなら、いっそ建て替えを行おう!とすぐ決めることができればいいですが、たいていはそんなわけにはいきません。
いうまでもありませんが、かなりのお金をかけて大型リフォームをすれば、見違えるように新しい賃貸住宅になりますが、表記の築年数は変わりません。
空室増、賃料下落は賃貸住宅経営の収益を悪化させます。建物の残債務や該当エリアの将来の賃貸需要などあらゆる要因から判断して、「大丈夫」となれば、建て替えを検討してもいいと思います。
建て替えの検討を始めたら、まず管理会社(ハイム不動産各社など)か建物を施工した会社(セキスイハイム各社など)に相談してみるといいでしょう。
建て替えたのちの約30年間、そのエリアに賃貸住宅需要が十分にあるのか?競合する物件の数の予測は?など 今後の予測をきっちり立てなければなりません。そしてこの予測に基づいて経営計画を立てます。それで納得すれば建て替え契約となります。
その後の詳細は、後ほど述べますが、賃借人(入居者様)との折衝を経て、取り壊しを行います。この後の新たな賃貸住宅を建てることになります。
現在賃貸住宅をお持ちの方は、いずれ建て替えの時期を迎えます。時期が来てから慌てることのないように、早くから資料請求などを行い建て替えやリフォームの情報を仕入れておくとよいでしょう。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所