建替・リノベーション
これでわかる!賃貸住宅建て替えまでの流れ
賃貸住宅の建て替え事例は、新築される戸数に比べればそれほど多くありませんが、近年着実に増えてきています。背景には、1980年代の賃貸住宅建築数の多さがあります。この時代、1年あたりの賃貸住宅の建築数が近年の倍以上の年が続きました。これらの賃貸住宅が築35年を超え、建て替え期を迎えています。
これからの日本では、「老朽化した賃貸住宅をどうするか」つまり、「賃貸住宅の建て替えをどうするか」と悩む、賃貸住宅を所有するオーナーが増えると思われます。
賃貸住宅を保有するほとんどの方が賃貸住宅の建て替えは未経験ということでしょうから、どのような流れで建て替えを進めればいいのか?と悩まれる方も多いと思われます。
以下に、賃貸住宅の建て替えの大まかな流れを図にしてみました。
※実際とは異なる場合があります。
まずは、セキスイハイムなどの施工会社、あるいは物件管理会社に相談し、建て替えの検討を行います。「建て替えるかどうか」の決断を悩まれる方も多いと思いますが、こちらを参考にしてみてください。
建替えの決断の要点はいくつもありますが、なんと言っても重要なのは、1)残債があるかどうか、現在の賃貸住宅からの貯えがあるか 2)周辺の賃貸住宅需要がこの先も長く続きそうか、これにご年配の方の場合は 3)後継者(被相続人)の同意が得られるかという事です。
建て替えると決断すれば、どの施工会社に依頼するかを検討します。現在の物件を施工した同じ会社にするのか、他社にするのかと悩む方が多いようです。どちらも検討するといいと思います。現在の賃貸住宅経営に満足しているのならば、同じ施工会社を選び、少し不満があるのなら新しい出会いを求めるかですが、どちらがいいかとは一概に言いにくく、判断の難しいところです。ただ、新しい賃貸住宅では、今後の周辺状況の変化を見通した間取りにするとともに、変化に対応できる可変性の高いプランにしたいものです。そのため、間取りの可変性が高いプランを提案してくれる施工業者を選ぶ方がいいようです。
さて、ここからが建て替えでは重要な局面を迎えます。
入居者の方々に、建て替えの意向を伝えます。少なくとも解体予定の1年以上前に伝えるといいでしょう。解体工事が始まる時点で、契約期間が残っている入居者には、近隣同クラス物件の紹介、引っ越し費用の負担、あるいはそれにプラスした費用の負担を求められる可能性もあります。すんなりと、入居者の同意が得られればいいのですが、誠意を伝えても上手くいかないときは、弁護士に依頼するなどの手段を取らなければならないこともあるようです。
すべての入居者の明け渡しが終わると、いよいよ解体工事がスタートし、その後新たな賃貸住宅の建築が始まります。再び同じ場所で賃貸住宅経営を行うわけですから、解体工事で頻発する近隣住宅とのトラブルは回避したいものです。
賃貸住宅の建築が佳境を迎えてくる頃から、賃借人の募集を開始します。そして竣工を経て、新しい賃貸住宅に入居者の方々を迎えることになります。
賃貸住宅需要が旺盛な場所に新しい賃貸住宅を建てると、適正賃料で募集を行えばスタート時に満室稼働になる可能性が高くなります。そのため健全なキャシュフローになり、安定した賃貸住宅経営を行うことができます。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所