建替・リノベーション
賃貸住宅リフォームで心配な事は何か?
一般の住宅と同じように賃貸住宅においても、築後一定の年数が経てばリフォームの必要があります。賃貸住宅を建築する際の長期収益計画でリフォーム費用を考慮していると思いますが、初めて賃貸住宅をリフォームする際には不安が付きまといます。ここでは、賃貸住宅におけるリフォームについて考えてみましょう。
賃貸住宅におけるリフォームのタイミング
まず、賃貸住宅における必要不可欠なリフォーム工事について、その発生確率が高まる時期とリフォームの箇所について列記しておきます。年数については概算です。
① 数年に一度の入退去時に発生する営繕・修繕工事のようなもの
② 築10年を超えるころから増える、室内各所のメンテナンス、ドアや扉の不具合調整
③ 築15~20年を超えるころから増える、エアコン、給湯器の取り換え
④ 築20年を超えると増える、水回り設備の不具合、交換
などが挙げられます。
ここに挙げたものは、使い方如何を問わず大抵発生するもの(言い方を変えれば、住宅設備品の消耗によるもの)ですから、建築する際、賃貸住宅経営を始める前に長期修繕計画に見込んでおくことが重要です。
賃貸住宅におけるリニューアル・大規模リフォーム工事
次に、頻度は少ないですが、もう少し大掛かりな工事を列記すると、
⑤ 外壁・屋根の塗装・防水
⑥ 外壁・屋根のメンテナンス
⑦ 間取りの変更(内部リニューアル工事)
などがあります。
外壁・屋根に関するリフォーム工事は、足場を組んだり、シートを掛けたりしますので、その間に退去者が出たり、入居者が付きづらかったりします。そのため、最低限のメンテナンスで済むような仕様にしていると、工事費用が抑えられるだけでなく、空室や家賃下落の心配が少なくて済みます。
賃貸住宅リフォームで心配な2つの視点
賃貸住宅のリフォームにおいて心配な事としては2つの視点があります。
まず、経営の視点では、賃貸住宅経営を始める前にシミュレーションした見込み費用に近いか、ということがあります。想定よりも早く不具合が起こり、取り換えや修理が必要になると、シミュレーションが崩れます。また、想定していない箇所にリフォームの必要が出てくれば、「思わぬ出費」となります。
次に、リフォーム工事そのものの不安です。セキスイハイムで建築していただいた建物の場合は、セキスイハイム(ファミエス)において対応しますが、それでも初めての場合「いくらくらいかかるのだろうか?」などの不安は付きまといます。
リフォーム検討中の心配な事
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が行った調査(2021年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査:結果公表 22年1月)によれば、「リフォーム実施にあたり不安に感じること」として、
1位:費用がいくらか
2位:施工が適切に行われるか
3位:見積の相場・適正価格か
4位:リフォーム工事後の不具合があった時の対応
の順となっています。
やはり、費用の点と施工に関することが上位となりました。建築したメーカー(系列の会社)に依頼するのが最も安心と言えそうです。
リフォーム検討時に重視すること。目的は何か?
同調査によれば、検討段階で重視することとして、
1位:設備の使い勝手が良くなるか
2位:耐久性の向上は見込めるか
3位:省エネ性の向上は見込めるか
4位:最新機能の設備を活用できるか
となっています。
ここでは、自宅のリフォームにおける回答が多いと思われますので、このような1位から4位のような結果となりましたが、賃貸住宅の場合は、これに加えて、「入居者の支持は得られる設備レベルか」や「賃料下落を防げるあるいは賃料増額につながるか」なども重視するポイントでしょう。
賃貸住宅経営におけるリフォームの位置づけ
賃貸住宅経営におけるリフォームは、経年劣化に伴う必要不可欠なコストとも言えますが、実質的には「追加投資」になります。
そのため、リフォーム費用という追加投資に対するリターンのイメージをしっかり持ったうえで、検討するようにしたいものです。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所