ハイム通信
WEBセミナーレポート 不動産市況とこれからの賃貸住宅経営成功法則
セキスイハイム東北ではWEBセミナーを開催し(10月9~11日の間視聴)、多くの方にご視聴していただきました。
本原稿では、このWEBセミナーの内容を簡単にまとめて報告します。
セミナーの概要
コロナショックで賃貸住宅経営はどうかわるのか?不動産市況とこれからの賃貸住宅経営成功法則
第1部
- 「データで解説! 不動産市況とこれからの賃貸住宅経営成功法則」
講師:不動産エコノミスト(社)住宅・不動産総合研究所理事長、吉崎誠二氏
第2部
- 「対談:これから求められる賃貸住宅とは?」
吉崎誠二氏とフリーアナウンサー内田まさみ氏 との対談(質問形式)
- 不動産エコノミスト
社団法人
住宅・不動産
総合研究所
理事長
吉崎 誠二氏
- フリーアナウンサー。
ラジオNIKKEIや日経CNBCの番組パーソナリティを務めるほか、ライターとして複数のメディアに記事を執筆するなど、多方面で活躍中。
内田 まさみ氏
合計約60分のオンラインセミナーとなっています。
また、10月23日、24日に主にセミナーをご視聴いただいた方を対象にした個別相談会が開かれ、こちらも予想以上に多くの方々にご参加いただきました。
以下、第一部の講演の内容(ダイジェスト版)をお伝えします。
1)コロナショック前までの不動産市況
2013年頃から都市部住宅地(3大都市、地方中核4市=仙台・札幌・福岡・広島)の公示地価は、上昇基調になっています。
2020年においても公示地価は1月1日時点なのでコロナショックの影響は加味されず、2020年まで連続して上昇しています。とくに地方4大都市はその傾向が顕著です。また、その影響は他の地方都市にも波及して、全国的に地価上昇がみられています。2005年ごろからのミニバブル期も大きく上昇しましたが、その期間は短かったため、大都市や地方中核都市に留まり、地方に波及するほどではありませんでした。長く、ゆっくりジワジワと地方まで上昇基調にあるというのが特徴でした。
東北地方という括りで見ても住宅地・商業地とも2017年ごろからは上昇基調にあります。
その背景には、政府・日銀とともに推し進めている「超低金利政策」があります。
2013年に日銀が低金利政策を始めて、貸出金利、ローン金利が低下し始めます。2015年の下期に不動産市況に幾ばくかの陰りが見え始めた時に、さらに追い打ちをかけるように2016年に入ると、もう一段の低金利政策(マイナス金利政策)を導入します。その影響は顕著に出て、不動産市況、地価ともに、再び上昇基調に入りました。それが2020年に入って、多少の高止まり感があったものの、持ちこたえていたわけです。
2)新型コロナウイルスの影響で不動産市況はどうなったのか?
日本において新型コロナウイルスの影響が経済活動において顕著に出始めたのは3月に入ってからです。
株価は3月初旬から、大きく下落します。不動産証券化商品であるJREITも3月に入ると大きく下げ、3月19日には日経平均、JREIT指数ともに、大幅下落となりました。その後4月に入ると持ち直し、株式は6月にはコロナショック前の水準になります。しかし、JREITにおいては、物流系や住宅系などは現在概ね回復していますが、商業系やホテル系、あるいはリモートワークが恒久的になりそうな見込みからオフィス系は回復していません。このように、コロナショックで一時的に大きな落ち込み(停滞)を経て、その後の状況は2極化しています。ここまでJREITについてお話したのは、不動産証券化商品は、市況を先取りと言いますか即座に反応を示すからです。一方の実物不動産の動きは、どうしても時間がかかりますので(売り出し~契約まで)、反応が遅れてしまいます。
では、実物不動産の動きはどうかですが、4・5月は実質的に営業活動がストップしておりましたので、大きく落ち込みましたが、7月以降はもとの水準に戻しています。首都圏などでは前年同月比でプラスの月も出ています。(東北地方も7・8月はプラスになっています)
3)賃貸住宅向けの投資は今後増えるのか?
2012年以降、賃貸住宅の着工戸数は右肩上がりで増えていました。2017年には上昇カーブにブレーキはかかっていますが、ある程度の数をキープしています。その背景には、下図のような理由が考えられます。
とくに、「長期的に見ればインフレ懸念があること、つまり賃料のようなインフレ連動収入があれば、それをヘッジ(リスク回避)できること」、そして次に述べるように賃貸住宅需要は今後しばらく伸びそうであること」の2つは大きな理由だと思います。
4)賃貸住宅需要はこの先どうなるのか?
賃貸住宅需要を見定めるポイントは、世帯数の動向や将来予測を見るといいでしょう。日本はすでに人口減少期に入っていますが、世帯数はまだしばらく伸びる見込みです。東北各県において今後、世帯数は宮城県を除けば少しずつ減少します。
ただ、単独世帯(1人暮らし)の方は、ほとんどの都道府県で、今後かなりの期間、増加するという予測になっています(国立社会保障・人口問題研究所の予測)。この単独世帯は例えば、宮城県では7割近くが賃貸住宅に暮らしています。他の東北各県は図5を参照してください。
図のとおり親族世帯においては、持ち家に暮らす方が多いのですが、単独世帯では過半数以上が賃貸住宅に暮らします。その単独世帯は今後しばらく増加の予測ですので、それにともない賃貸住宅需要が増える可能性があります。
また、30代~40代を中心に持ち家志向の方が減少しています。図6をみればその傾向ははっきりしています。「大きなローンをかかえたくない」「雇用不安」という事に加えて、「賃貸住宅そのもののレベルアップ」ということが背景にあるものと思われます。
下図のように意識調査をみても、賃貸住宅志向の高まりがうかがえます。
5)賃貸住宅経営 成功のポイント
いうまでもありませんが、賃貸住宅経営は、一定の投資を行ってリターンを得る行為です。そのため、「どれくらい収入があるか」だけでなく、しっかりとどんなリスクがあるかを理解することが大切です。
「どんなリスクがあるか」がわかれば、「それをどう対処すればいいか」が見えてきます。
賃貸住宅経営おける主なリスクは以下の6つです。
①と②は連動しています。つまり、「空室を少なくするか」が第一のポイントです。
そのためには、「エリアニーズを捉えた間取り・仕様にすること」、「時流を捉えた間取り・仕様にすること」例えば、最近ではWITHコロナの生活対応として、外部と内部の一体感のある広々空間の仕様、あるいはリモートワーク対応の部屋、あるいはセキュリティの強化などです。セキスイハイムの得意な仕様ですね。また、賃貸住宅においても水廻り設備品は一定水準のモノが必須です。
さらに、無理な賃料を設定せず、周辺の同レベル物件の水準に合わせた適正賃料にすることも、空室対策になります。③は気になる方は固定金利を組めば、安定します。④は収益シミュレーションを組む際にあらかじめ見込んでおけば、慌てずにすみます。
以上、10月9~11日に行われたWEBセミナーのダイジェスト版をお届けしました。
ご質問などがありましたら、お近くのセキスイハイムまでお問合せ下さい。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所