不動産市況
不動産業界注目のデータと賃貸管理の法整備について

5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動が戻ってきています。
都心の昼間の人通り、夜間の飲食店の客の入りなども一時期よりも増えてきているようです。しかし、本格的に企業が動き出す、あるいは店舗が本格稼働を行うのは、6月に入ってからになりそうです。
このような中で、国土交通省が主導で進めていた不動産業界・賃貸住宅業界において注目の動きがありましたので、ご紹介します。
賃貸管理業者の登録制度とサブリース業の適正化
5月末現在閣議決定~衆議院通過した所で、このあと参議院の審査がありますが、近日確定となりそうです。
これにより、賃貸管理業者が登録制になり、またサブリース業者に対してルールが適用されます。これは、物件所有オーナーと管理業者・サブリース業者、また入居者と管理業者・サブリース業者との間でのトラブルを防ぐためのものです。
主な内容は、以下の通りです。(国土交通省HPより引用、一部加筆)
また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(=建築業者など)についても、契約の適正化のための規制の対象とされます。
大手ハウスメーカーでは、あまりトラブルはないようですが、メディアでは時折サブリース契約についてのトラブルが報じられています。こうした法整備が整うと今後は、トラブルが減ることでしょう。
既存住宅販売量指数が公表開始
国土交通省から5月27日、2020年2月分の「既存住宅販売量指数」が公表されました。
この指数は、登記データを基に、個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化したもので、1月分より毎月試験的に公表されているものです。
日本においては、アメリカなどと比べて、不動産取引・価格等の公的データが少ないと言われてきました。しかし、不動産市場の適切な把握のためには、国土交通省がすでに公表している不動産取引価格情報、不動産価格指数に加えて、官民データを用いて更なる整備が必要とされてきました。そこで、「官民データを用い、既存住宅流通量データについて形態別の動向分析による流通量の動向の把握、住宅に関する賃料の動向の把握を行う」ことが、国土交通省内で検討されてきました。
プロパティ別では戸建、マンション(全体・30㎡以下除く2つあります)、そして全体に分かれ、全国に加えて、各エリア(北海度・東北・・・)に分かれたデータもあります。
最新の2月分データでは、全国、全プロパティでは前月比-1.7%、前年同月比-0.9%となりました。詳細は国土交通省HPをご覧ください。
新型コロナウイルス(COVID-19)ショックで大きく変化し始めたのが4月以降ですので、この公表データから、新型コロナウイルス(COVID-19)前後の動きを正確に知るにはもうしばらく時間がかかりそうです。
しかしながら、市況を分析するデータとして、有用なデータになることは間違いありません。また、賃料データなどの整備も検討されているようですので、期待して待ちたいと思います。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所