不動産市況
転出超過が進む東京都。戻る日は来るのか?
新型コロナウィルス感染拡大前と後では、都道府県をまたぐ生活圏の移動状況はどのように変化したのでしょうか?
※出典:「住民基本台帳人口移動報告データ」(総務省統計局)
(https://www.stat.go.jp/data/idou/index.html)
上のグラフは、2021年の1月~9月間での各都府県の年齢階級別の転入者数を2019年(同:1月~9月)比較し、どれくらい増減があったかを表しています。
ここでのプラスは、2021年の方が、2019年よりもその地域において転入者数が増えたことを示します。
これを見ると、多くの都府県、そして年齢層で、2019年よりも転入者数が減っているのが分かります。特に目立つのは、東京都で、全ての世代でマイナスになっています。
これまで「東京一極集中」に対する批判は強くなっていました。メディアなどでも東京圏への人口流入について多く取り上げていましたが、2020年そして21年は新型コロナウィルスの影響のためか、大きく減少しています。
実際に、2020年9月単月の東京都の人口移動状況は、転出者数が転入者数を3,533人上回り、5カ月連続の転出超過となっています。
逆に、大阪府や福岡県、宮城県、広島県では、15歳~19歳、20歳~24歳の転入者数が増えているようです。大学進学や就職の際に、これまでは東京をはじめ首都圏に流れていた人流が、地方中心都市に向かったのでしょう。
次に、転出者数の変化を見ていきましょう。
このグラフでも東京都の人口流出の増加が目立ちます。逆に、それ以外の地方都市では、人口流出が減った年代が多いようです。
今回は、21年10月末に公表された21年9月までのデータを用いて解説しました。この間は新型コロナウィルスによって人の移動が制限されていたこともあり、これまでとは異なり特徴的な傾向となりました。
緊急事態宣言が解除され、21年10月以降は、新規感染者数が激減、人の流れも以前のように戻ってきました。
今後、withコロナからafterコロナになった際に、また元のように東京への人口一極集中へと戻るのかが注目されます。
執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所