不動産市況/
税に関すること

賃貸住宅経営における個人(個人事業主)の税金について

賃貸住宅経営における個人(個人事業主)の税金について

収入と所得

 賃貸住宅経営を行う際に得られる収入は、賃料収入が主となります。仮に、物件を売却した場合は、その売却に伴う収入(売却益)を得ることになります。収入から必要経費を引いたものが所得で、この所得に対して税金がかかるわけです。賃料収入に対する所得を「不動産所得」と呼び、売却に伴う所得を「譲渡所得」といい、それぞれ、税のかかり方が異なります。

賃貸住宅経営をサラリーマンの方が行う際の税の計算

 一般的なサラリーマンや公務員などの方々は、給与収入という形で収入を得ます。先ほど述べたように「所得に対して税金がかかる」わけで、こうした方々は、給与から給与所得控除(195万円が上限です)という名のみなし経費を差し引いた額が給与所得となります。

 こうした方々が賃貸住宅経営を行い、

 (例1)例えば賃料収入100万円/月×12カ月=1200万円(=不動産収入)、経費1000万円とすると不動産所得は200万円となります。

 この方が例えば給与所得(収入―控除)700万円だとすれば、合計所得は700+200=900万円となります。
 この合計所得から、基礎控除、配偶者控除、保険控除・・・・等々(時々項目や控除額、その他が変わります)さらには最近流行りの寄付控除(ふるさと納税等)、(これらを合わせて所得控除といいます)を引いたものが課税対象所得となります。

 これに対して、以下のような計算を行います。

 課税対象所得(Aとする)×Aに応じた税率-Aに応じた控除額 =所得税+住民税(C)

 ちなみに税率は、約15%~約56%まであり、課税対象所得の額でものすごく大きな開きがあります。
 また、ローン減税などは、Cから引かれます。ふるさと納税は所得控除対象で、住宅ローン減税は税額控除対象となり、その税効果は大きく異なります。一定の所得の方にとってみれば、住宅ローン減税はかなり大きいということです。

 上の例1では、不動産収入がプラスになっています(例1では+200万円)が、これがマイナス200万円になれば、合計所得は700-200=500万円となり、所得税+住民税は、ぐっと低くなります。

 賃貸住宅経営における経費をどこまでみなすか、ということに関わりますが常識の範囲内で「落とせるものは落として、不動産所得を低くする」ということを行う方も多く見られます。以下で収入と経費についてお伝えします。

賃貸住宅経営における収入と必要経費について

 賃貸住宅経営における収入は、家賃(居室ほか駐車所など)、礼金、更新料に加えて、預かり金としての敷金もあります。
 費用については、建物関連では、建物管理費(BM費)、修繕積立金、があります。主に建築施工会社とのやり取りです。次に、収納代行他入退去の管理などを行うPM費用があり、こちらは管理会社とのやり取りです。
 また、固定資産税と都市計画税2つの税金は費用計上できます。いうまでもありませんが、前段で述べた所得税・住民税は費用にはなりません。
 ローンですが利子分は費用になり、元本分は費用になりません。その他原状回復費や修繕費、メンテナンス費なども費用になります。さらに大きな物件では減価償却費というお金の出ていかない費用が計上できます。建物の劣化に対する価値の減額のイメージの費用です。
また、入居者募集費用・広告費用、あるいは税理士に頼む費用なども経費になります。それ以外にも、賃貸住宅経営を行う上で必要となる交通費、あるいは雑費など経営に必要なものは費用とすることができます。

 最後になりますが、税制度は毎年のように変化しますので、最新の情報を入手してください。また税のかかり方は個人により違いがありますので、迷う場合は必ず専門の税理士等に相談してください。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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