不動産市況

人口動態に見る今後の住宅事情の変化

人口動態に見る今後の住宅事情の変化

 かつて、ファミリー向け分譲マンションでよく見られた4LDK物件は、昨今では少子化の影響や広い部屋(特にLD)が好まれる傾向、また昨今のマンション価格上昇に伴い広い物件は総額が高くなることから、今では少なくなりました。
 こうした事例はほんの一部で、住宅に求められるニーズは人口動態や世帯のあり方、また市況により大きく変化します。

少子化傾向は続く

 2021年の1年間に産まれた子供は、約84万人で前年から約3万人(-3.4%)減り、6年連続のマイナスとなりました。出生率は2005年に1.26となり、大きな話題となりました。そこからは幾分回復し、このところの出生率は1.3人台で推移しています。1を下回っている韓国までではありませんが、全世界の中でも下から数えた方が早いポジションになっています。アメリカではこのところ出生率が上がってきており1.7近くになっているなど、先進国においては出生率が大きく低下傾向にありますが、世界を見渡せば回復している先進国もあります。
 出生率の低下の背景には様々な要因があると言われていますが、その1つに婚姻数の減少、婚姻率の低下、未婚者数の増加(いずれも同じ状況)があります。

 言うまでもなく、1世帯当たりの子供が少なくなれば、住まいの部屋数は少なくてもよく、また、未婚者が増えるということは単身者が増えるということですから、部屋数はいらない、ということになるわけです。

少子化とリフォーム

 このような少子化に伴う、「求められる部屋数」の変化により、間取り変更のリフォームが増えているようです。
 分譲マンションでは、築20年を超える物件には4LDK間取りの物件も多く見られましたが、所有者の子どもが巣立つタイミングで4LDK→3LDK(もしくは2LDK+納戸など)への間取り変更が行われ、これはライフスタイルの変化というだけでなく、「売却時に有利になるから」、と将来の売却を見越しての工事だとも思われます。
 また、賃貸住宅においても、3LDK→2LDK(もしくは1LDK+納戸や書斎など)へのリフォーム工事が行われています。世帯のあり方の変化に伴う賃貸住宅需要の変化を捉えたものだと思われます。

人口減少は続く

 これからの日本において人口減少の傾向はもはや避けられることはなく、減少速度を遅くすることが精一杯だと考えられます。団塊の世代と呼ばれる方々は現在(2022年)70歳台前半ですが、この世代の方々が抜けることになる10~15年(平均寿命が現在と変わらないとすれば)後、つまり2030年代になれば人口減少が加速することになります。そうなれば、使われなくなる住宅も一気に増えることになるでしょう。

2030年までの人口動態予測と求められる賃貸住宅の変化

 一方で、国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、単独世帯の数は、現在も増え続けていますが、今後も増えることが予想されています。また、世帯数(単独世帯だけでなく総世帯数)においてもまだしばらく増加することが予想されています。概ね1世帯に1つの住宅が必要となりますから、こう考えれば、必要な住宅数は今後も増えるということになります。

 こうしてみると、今後の日本で議論すべきは、「住宅はこんなに要らない」という議論ではなく、「今後の人口動態から、必要な住宅のあり方」の議論なのだと思われます。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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