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土地と建物を購入して始める賃貸住宅経営について 第1回

土地と建物を購入して始める賃貸住宅経営について 第1回

 一般的にいう土地活用とは、「所有している土地に賃貸用の物件を建築して賃貸経営を行うこと」です。この「賃貸用の物件」の多くは、比較的立地に多様性があり、需要も安定していることから賃貸住宅となっています。
 賃貸住宅経営では、所有している土地の活用として行うだけでなく、土地を新たに購入して行う方もおられます。後者の場合、「土地活用」というより、「不動産投資」のイメージが強くなります。土地活用では、投資の対象は建物や外構(とそれに付帯するもの)ですが、これらのパターンでは、土地も建物も含めてすべてが投資対象となります。そのため、一般的には、比較して投資総額が多くなります。
 ここでは、すでに土地活用として所有土地に賃貸住宅を建築して賃貸住宅を行っており、もう1棟賃貸住宅経営を行いたい方。また、賃貸住宅経営を始めたいけれど、土地を所有していない方。こうした方々向けに「土地と建物を購入して始める賃貸住宅経営」について、3回に分けてお伝えします。

土地購入タイプの賃貸住宅経営の2つのパターン

 土地と建物を購入して賃貸住宅経営を始めるには以下の2つのパターンがあります。
 1つ目は、まず土地を購入。その後、その地に賃貸住宅を建築する、というパターン、2つ目は、賃貸用としての住宅が建っている物件を、土地の所有権と建物(=賃貸住宅)を一体として、購入する、つまり「分譲賃貸住宅」とも言える物件を購入するというパターンがあります。いずれも「土地」があって初めて成立する賃貸住宅投資ですから、とくに前者では「土地探し」、後者では「物件の立地」が重要なポイントとなります。
 また、分譲賃貸住宅投資には、都市型タイプと郊外型タイプに分かれます。後ほど詳しくお伝えしますが、都市型タイプはやや小ぶりな賃貸住宅が多く、郊外型タイプでは比較的大きめの賃貸住宅が多いようです。

土地活用タイプと土地購入タイプの賃貸住宅投資における目的の違い

 土地活用タイプの賃貸住宅経営では、「投資に対する利回り」は、あまりクローズアップされません。土地活用では、使っていない土地から資産を生み出す「遊休地活用」という考え方がベースにあり、加えて、「資産の承継がスムーズに進むこと」や「相続時の税効果」を期待し、そして「将来に渡り安定的な収入を狙う」ということになります。この3つが主な目的となっています。
 一方、「土地購入タイプ」の賃貸住宅経営では、投資金額に対してどれくらい収益があるか、つまり「投資に対する利回り」が重視されます。

土地活用タイプの賃貸住宅投資の利回り

 土地活用タイプの賃貸住宅経営における投資の対象は、建物とその付帯物ですから投資総額は、土地購入タイプに比べて相対的に少なくなり、賃料に対する投資利回りは高くなります。
 仮に、利回りを計算するとすれば、土地活用として賃貸経営を始める場合は土地購入をしませんので、土地価格はゼロ円で計算します。しかし、より厳密には、直近の土地相場価格を仮の土地への投資費用としてみてもいいでしょう。

土地購入タイプの賃貸住宅経営における利回りとメリット

 土地購入タイプの賃貸住宅経営では、投資総額が大きくなります。そのため、賃料が同一と仮定すれば、利回りは相対的に低くなります。このタイプは、純粋な「不動産投資」となるため利回りを気にする方が多くなります。また、手残り金額(キャシュフロー)も土地活用パターンに比べて悪くなります。このため、土地活用タイプの賃貸住宅経営に比べてリスクは高くなります。
 しかし土地購入タイプの賃貸住宅への投資には、大きなメリットがあります。それは、「借り入れ返済が終わると、土地が手に入る」ということです。言い方を変えれば、賃料が想定通りに入ってくれば、家賃収入により土地購入費の全部あるいは大部分をまかなうことができるということになり、メリットの大きい投資となり得るということになります。

セキスイハイムの取り組み

セキスイハイムでは、土地活用としての賃貸住宅建築はもちろんのこと、ここで述べた2つの土地購入タイプの賃貸住宅建築も行っています。とくに、次回お伝えする土地と建物一体となった分譲型の賃貸住宅販売も行っていますので、ご興味のある方は、お近くのセキスイハイム各社へお問合せ下さい。

執筆者一般社団法人 住宅・不動産総合研究所

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